産官連携
中小機構北陸本部様
2025年度
株式会社別川製作所企画開発室は、360度のカメラ映像を駆使してデジタルプラントを構築する「ぐるりビジョン」と、デジタル空間を経由してさまざまな場所を行き来できる「どこでもビジョン」の市場展開を見据えたテストマーケティングに向け、2025年10月から経済産業省が管轄する独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)の「ハンズオン支援事業」を活用しています。
企画開発室のメンバーでプロジェクトチームを組み、約5カ月間にわたり中小機構北陸本部が提供する全8回のプロジェクトミーティングで、同機構の中小企業アドバイザー(経営支援)の熊田登志也氏の助言を受け、マーケティング企画書やプレゼン資料の作成を進めました。
プレゼン資料では、企画開発室が手掛けたデジタルツールの導入によって、作業時間の短縮化を図るだけでなく、現場作業者のエンゲージメント(働く意欲)も高めることができるという強みを、客観的な数値で示すことがかないました。
その指標として盛り込んだのが、当社が2010年から毎年実施してきた従業員アンケート「組織サーベイ」の結果です。
当社の塗装工場では、企画開発室が構築したスマホのチャットBotを活用した点検・警報通知の技術を2023年度から取り入れています。
その導入の前後で組織サーベイの結果を見ると、導入後は改善提案項目「自分たちの力で現場をより良くできる」の設問に対するYES解答が最大0.83ポイント上昇しており、前向きに仕事に取り組む姿勢が強くなったことが分かりました。
さらに、全項目におけるYES解答の平均値が5.5ポイント前後であるのに対し、先の改善提案の項目は2023年度が6.33ポイント、2024年度6.00ポイントと高い位置を保持しています。
また、チャットBot技術導入前の体制では、熟練の作業者が持つノウハウを持続的に共有することが難しく、生産性の向上や職場環境の改善にはつながりにくかった現実がありました。
しかし導入後は、経験値や世代の違いを超えて作業者みんなで話し合い、改善策をカタチにし、共有・展開を繰り返す「ナレッジサイクル」(SECIモデル)が動き出したという実際のエピソードも、営業提案先の経営者にはインパクトを与える十分な魅力があると熊田氏から好評いただきました。
今後は第2段階として中小機構のアシストで、関東エリアでのテストマーケティングに進みます。
製造業を基本に、幅広い業種に挑戦します。
「ぐるり」や「どこでも」の各技術を軸にリアルとバーチャルを融合させたプラント運営、さらにデジタルとの共働によって職場に好循環が生まれ、労働意欲がアップする「新しい働き方」をどのように受け入れていただけるのか、さまざまな声を聞かせていただき、今後の改良に反映していきたいと思います。
| 長坂氏 | 遠隔地から製造現場が確認できる利便性の向上だけでなく、工場の働き方を変革したいという別川製作所メンバーが本製品に込めた思いに共感しました。別川製作所にとって新しいビジネスモデルの構築になりますが、新市場開拓においては顧客への提供価値を明確なエビデンスと共に示すことが重要です。今回の支援事業を通じ、提案先から多くの声を集め、今後の事業展開に活かしていかれることを期待しています。 |
|---|
| 熊田氏 | 率直に自分が経営者だとして、企画開発室さんの技術を自社工場に導入したら非常に有効だと感じました。広範囲に展開でき、個々の技術も深い。そして工場をデジタル化して業務を改善するだけに留まらず、従業員自身が意欲的にアイデアを出して職場環境を向上させていく発想が好印象でした。今後必ず広がっていくシステムだと期待しています。働き方が変わる技術だと自信を持って取り組んでいただきたいですね。 |
|---|
| 川島社長 | 中小機構さんに伴走いただく中で、経営支援のプロの視点でさまざまにアドバイスしてくださり、非常に安心感がありました。盤製造を主軸にしてきた当社の新しいビジネスモデルを創造する上で、企画開発室の「攻めのDX」の方向性が今回の支援を経て、より明確になったと感じます。テストマーケティングに移るとさらなる難題があるかもしれませんが、企画開発室は「藪を切り開く部署」ですので、期待しています。 |
|---|
長坂 祥子 氏
中小機構北陸本部
企業支援課課長代理
熊田 登志也 氏
中小機構北陸本部
中小企業アドバイザー(経営支援)
川島 直之
株式会社別川製作所
代表取締役社長