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AIおよびARを活用した設備等保守を支援するAndroidアプリに関する研究開発

AIおよびARを活用した設備等保守を支援するAndroidアプリに関する研究開発

金沢工業大学(KIT) 松井くにお研究室 様

2020年度

イメージ:金沢工業大学(KIT) 松井くにお研究室 様

企画開発室では2020(令和2)年度、金沢工業大学(KIT)松井くにお研究室との共同研究を約1年間にわたって実施し、工場設備の異常検知に役立てるAndroidアプリの開発に挑みました。スマホアプリに詳しい工学部情報工学科の松井くにお教授とゼミ生の徳田真之介さん(4年)の協力を得て、誰にも身近なスマホアプリの機能と企画開発室が展開するAI・IoTを駆使した分析機能を連携させ、新たな価値、サービスの創出の可能性を追究しました。

今回の研究目的は、スマホアプリで録音した機械の稼働音をクラウドで解析し、機械が正常から異常に変わるまでの過程を可視化できるようにするもの。アプリ開発担当の徳田さんは、録音と解析用データへの変換、クラウドでの解析の実行までをスマホの操作のみで対応できるようにしました。また、スマホのカメラでARマーカーを読み込み、実際の機械の映像と録音方法などのガイダンスを同時に表示させるAR(拡張現実)の技術を活用した機能なども組み入れ、取得データの精度も保持しています。

研究では、11月と1月に現場検証も行いました。別川製作所の工場の塗装エリアで、塗装ポンプの稼働音を録音し、操作の手順やユーザビリティーを検証。当初は解析結果をパソコンなどの別の端末で知らせることを考えていましたが、スマホの手軽さを最大限に生かすため、解析結果を即座にスマホへ通知されるように改善しました。録音、解析、通知までをスマホ一台で完結し、今回の共同研究は実用化への一歩を踏み出しました。

図:研究イメージ

金沢工業大学の松井教授と徳田さんに
共同研究について振り返っていただきました。

共同研究に参加して、いかがでしたか。

徳田さん 初めての挑戦で、1年間ずっとモチベーション高く取り組むことができました。というのも、月1回、その時点での成果に対して企画開発室の方から必ずフィードバックをいただき、それを次回までの課題として解決方法を探すプロセスがとても充実していたからです。
松井教授 アプリの作成は授業でも行っていますが、実際に現場の方の声を取り入れ、クラウド解析にまでつなげる本格的なアプリの開発は徳田さんにとっても非常に良い経験になりました。ユーザビリティーを意識して開発することを学び、視野も広がったと思います。

アプリ開発で大変だったことは何ですか。

徳田さん ユーザー認証の部分です。音を録音し、クラウドにアップロードしようとすると、録音データがなぜか失われる現象が起きてしまって。アプリの開発環境として選択したUnity(ユニティー)の仕様の問題ですが、それを解決するのに3週間ほどかかりました。
松井教授 それから、操作画面のレイアウトについても企画開発室の方からアドバイスをもらって、試行錯誤している姿をよく見ましたね。
徳田さん そうですね。助言をいただき、録音ボタンの位置や、機械によって録音時間が異なるので、そのカウント表示の場所も工夫しました。

今後、どんな実用化を期待しますか。

松井教授 このアプリを使って、稼働機械の異常を実際に発見できたら良いですよね。
徳田さん 今は音の解析から異常を検知しますが、将来的には現場写真を残して、音だけでなく、五感で感じる違和感もメモ的に記録できる機能があれば使用環境の幅も広がるのではないでしょうか。システムを拡充し、現場で役立ててもらいたいです。

PROFILE

博士(工学) 金沢工業大学工学部 情報工学科 松井 くにお教授

松井 くにお教授

博士(工学) 金沢工業大学工学部 情報工学科

金沢工業大学工学部 情報工学科4年 徳田 真之介さん

徳田 真之介さん

金沢工業大学工学部 情報工学科4年

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