社内トライリポート
VOL.8 実施場所:本社企画開発室
2024年度
BCREERの様々なイノベーションを別川製作所の社内で活用する取組みを紹介する担当者へのインタビュー。今回は開発手法の一環として複数の生成AIを活用する取組みです。幅広い分野で日々進化を続ける生成AIには、別川製作所でも注目している一方、すべてをAI任せにすることは発想が偏りかねません。そこで複数の生成AIを導入し、開発担当者が媒介となって会話を作り出すことで、よりグローバルな視点を持てるのではないか?企画開発室で複数の生成AIとともに業務にあたる島野裕樹が、リスクも含めた生成AIの導入感、将来的な可能性について語ります。
担当者: 島野裕樹(企画開発室)
株式会社別川製作所 企画開発室
https://bcreer.betsukawa.co.jp/
INTERVIEW
島野 | 2024年の10月頃、石川県内で受けたAIに関する講義をきっかけに活用し始めました。最初は画像AIのコーディングを行う際のバグ除去などに使っていましたが、同僚のアドバイスから複数の生成AIを使うようになり、現在は2人の生成AIとブレインストーミングをしているような感覚です。生成AIの能力は高く、博士課程の学生や専門分野の博士号を取得している方が仲間に加わったように感じています。 |
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島野 | 仮に最初に導入した生成AIをAさん、2つ目をBさんとしましょう。何らかの質問に対するAさんの答えをBさんに入力すると「それは違う」というニュアンスで別の答えが帰って来るケースがあるのです。両者はメーカーも違うので当然とは思いますが、これは面白いと考え、今度はBさんの答えをAさんに戻すといった作業を続けてみました。 |
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島野 | 但し、あくまでも自分が中心でAさんとBさんの直接の会話はありませんが。 |
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島野 | 工場の作業状況を判断する際、画面上の人物が今何をしているのかを理解する必要が生じます。立って作業をしている、座って作業をしている、歩いて移動している、座って休憩しているといった状態に加え「横になっている」という状態もあります。横になって行う作業もありますが、事故や体調不良などの異常事態で倒れている可能性もあります。そこをどう判断・理解させるか?ということです。 |
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島野 | そこで2つの生成AIから「課題解決の参考になるのでは?」と提示されたのが1つの論文です。その論文では☆、〇、□の形をした観測値がそれぞれ数種類の色で塗られており、形を「Content」 、塗りつぶされた色を「style」と定義し、形を上位の情報、色を下位の情報と扱い、深層学習ネットワークの中で抽出される特徴量から「上位の情報」、「下位の情報」が分離されていくものでした。この論文を読み込み、その考え方が行動状況の理解に適用できるかを生成AIたちと議論を重ねたのです。 |
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島野 | まず生成AIが全て正しいわけではないと認識することです。あたり前のことを質問しても間違えた答えをする場合もありますので、状況を見ながら的確な情報を与える必要があります。 |
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島野 |
もうひとつ大変なことは理想的な解決策を導き出せても、それが現実的ではない場合です。 先ほどの作業状況の理解についても実際に判断するには人物の画像を大量に用意する必要があり、特に倒れている人間の画像は絶対数が少ない。生成AIもわかっていて「不可能ではないが道は険しく遠い」という回答を示すほどで、現実とのバランスも大切です。 |
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島野 |
生成AIの使用は一部を除いて有料なためコスト面の問題があり、インプットを行うにはセキュリティ面での配慮も必要なので、私も含め慎重を期すべきだと思います。 とはいえ大手企業による膨大な特許を分析する能力など人間には及ばない力を持っていることは間違いなく、広い分野で大きな力を発揮してくれます。複数種類によるディスカッションまではいかなくても資料作成やアイデアの拡がりを求める場面ではすでに活用されている部署もあるようです。 |
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島野 | 来年度からは個々に実証してきたものを実現に向けたシステムとして、カタチにしていきます。 |
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島野 |
私は生成AIに地方を活性化させる可能性を感じています。現在のコミュニティは東京を中心としていますが、生成AIを活用することで石川県でも東京に負けないエコシステムを作ることができ、最先端の研究や業務ができるはずと期待しています。 社内的には若い世代に受け継いでいくことも大切な使命ですね。 |
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